香山リカさん 「壮大な宇宙の話に悩みも吹っ飛ぶ」

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「宇宙に『終わり』はあるのか」吉田伸夫著(講談社 980円+税)

「精神科医のあなたはどうやって悩みを解決してるのか」と聞かれたら、いつも「宇宙論の本を読む」と答えてギョッとされる。宇宙のスケールは時間的、空間的に途方もなく、そこにしばし心を遊ばせているうちに、たいていの悩みは「ま、どうでもいいか」と思えて肩の力が抜けるからだ。

 その“脱力のための宇宙論”だから難解な専門書では困るのだが、最近うってつけの一冊が出た。138億年前の宇宙の誕生から現在まで、さらに100兆年よりもっと先の「10の100乗年」、すべてをのみ込んだブラックホールさえも蒸発して消え、「永遠の沈黙」が支配する宇宙の終焉がやって来る日までのことが、数式なども使わずに分かりやすくダイナミックに語られる。

 本書の読後感は2つ。「私の世俗の悩みなんてちっぽけだ」、そして「こんなスケールのデカい宇宙の中でニンゲンとして生まれたのはまぎれもない奇跡」。

 ビッグバンから38万年後にわれわれの宇宙はほぼ透明になって「晴れ上がり」と呼ばれる時期を迎えるが、本書を読み終えた頃に読者の心もすっきり晴れ上がり、息苦しさが消えていることだろう。

▽かやま・りか 1960年、北海道生まれ。立教大学現代心理学部映像身体学科教授。NHKラジオ「香山リカのココロの美容液」パーソナリティー。近著に「人生が劇的に変わるスロー思考入門」。

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