「心を操る寄生生物」キャスリン・マコーリフ著

公開日: 更新日:

 ここ数年注目されている「腸脳相関」で明らかになったように、人間に寄生する生物が、その心までも操っているのではないか、という新しい考え方・研究を紹介した一冊。著者は世界的な科学雑誌「ディスカバー」誌の寄稿編集者でサイエンスライター。

 その内容は刺激的だ。本の中でインフルエンザウイルスは、新たな感染先と出合うため、ウイルスが最もうつりやすい時期にいつもより多くの人と出合うよう心を操っているのではないかとの仮説を立てた研究者の話を紹介している。

 また、性感染症を引き起こす病原体が性欲を後押しするという考えもあるそうで、その例として、単純ヘルペスウイルスが骨盤領域の神経末端を刺激して性的活動を促進して、別の宿主にうつる確率を高めている可能性があるとの学者の推測も書かれている。

 寄生生物がその存在を守るために、宿主を支配しようとしているさまが具体的に書かれていて面白い。(インターシフト 2300円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    元横綱・三重ノ海剛司さんは邸宅で毎日のんびりの日々 今の時代の「弟子を育てる」難しさも語る

  2. 2

    巨人・岡本和真を直撃「メジャー挑戦組が“辞退”する中、侍J強化試合になぜ出場?」

  3. 3

    3年連続MVP大谷翔平は来季も打者に軸足…ドジャースが“投手大谷”を制限せざるを得ない複雑事情

  4. 4

    高市政権大ピンチ! 林芳正総務相の「政治とカネ」疑惑が拡大…ナゾの「ポスター維持管理費」が新たな火種に

  5. 5

    自民党・麻生副総裁が高市経済政策に「異論」で波紋…“財政省の守護神”が政権の時限爆弾になる恐れ

  1. 6

    立花孝志容疑者を"担ぎ出した"とやり玉に…中田敦彦、ホリエモン、太田光のスタンスと逃げ腰に批判殺到

  2. 7

    沢口靖子vs天海祐希「アラ還女優」対決…米倉涼子“失脚”でテレ朝が選ぶのは? 

  3. 8

    矢沢永吉&甲斐よしひろ“70代レジェンド”に東京の夜が熱狂!鈴木京香もうっとりの裏で「残る不安」

  4. 9

    【独自】自維連立のキーマン 遠藤敬首相補佐官に企業からの違法な寄付疑惑浮上

  5. 10

    高市政権マッ青! 連立の“急所”維新「藤田ショック」は幕引き不能…橋下徹氏の“連続口撃”が追い打ち