超私的「京都本」特集

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「京都の風水地理学」円満字洋介著

 森羅万象を「木火土金水」の五気に配当し、これらの関係性であらゆる事象を説くのが「五行説」だ。風水はこの五行説と陰陽説などに基づき、建築や都市づくりの吉凶禍福を決めるもの。著者は阪神大震災の復興復旧に携わった修復建築家。

 碁盤の目のように美しい街・京都は、平安京の時代に風水に基づいてつくられた。当時どんな意図を込めて都をつくったのかをたどっていく。

 平安京の復元図では、二条通りを底辺に、羅生門を頂点にする南向きの正三角形が描ける。これは、大内裏にいる天皇が天を向いて万事滞りなく執り行うための祈りの装置だという。また、ギ園祭発祥の地である神泉苑は、風水と易経でひもといてみると、実は疫病の流行を防ぐ祭祀場だと推測できる。このほかにも六角堂が六角形の理由、伏見稲荷大社が商売繁盛の神様になった理由などに迫る。都の構造に秘めた為政者の思いを知ることができる一冊。(実業之日本社 800円+税)

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