「声なき人々の戦後史(上・下)」鎌田慧著、聞き手・出河雅彦

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「成長の時代が終わっても、リスクを背負わされる人の割合はむしろ増えている。政府も企業もいまだに効率性だけを追い求めているからである。私は戦後社会の現実を、犠牲を押し付けられる側から見続け、そのような犠牲のない世の中にしたい想いでルポルタージュを書き続けてきた」(プロローグ)

 朝日新聞・青森版に2014年3月から2年間、88回にわたって長期連載された「声なき人々の側で――ルポライター鎌田慧の軌跡」をまとめたもの。対馬のカドミウム中毒を追った「隠された公害」(1970年)、むつ小川原開発計画地域を取材した「死に絶えた風景」(1971年)から、トヨタ自動車での労働体験を書いた「自動車絶望工場」(1983年)や、近著の「ルポ 下北核半島」「ドキュメント 水平を求めて」まで。まさに著者のルポライター人生50年の軌跡は、戦後の大衆運動の歴史と重なり、豊かさとは何かを問いかけてくる。

(藤原書店 各2800円+税)

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