「引き潮」R・L・スティーヴンスン&ロイド・オズボーン著、駒月雅子訳

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「ジキル博士とハイド氏」と「宝島」で有名なスティーヴンスンが、生前最後に発表した作品で、継子との共作。

 南太平洋、タヒチの浜辺に流れ着いた3人の男。オックスフォード出身でインテリのへリック。ニューイングランド出身のアメリカ人で、元船長のデイヴィス。ロンドンの下町育ちで、教養も品もないヒュイッシュ。いずれも人生の敗残者という趣で、あてどなく日々を過ごしていた。そこへ天然痘で船長を失った帆船を搬送する仕事が舞い込んだ。その船の積み荷に高価なシャンパンがあることを知ったヘリックらは乗っ取りを企てる。ところが嵐に遭遇し、海図にはない謎の島に漂着。その島はアトウォーターという男が仕切っており、この男と遭遇することで、3人の男たちの運命は大きく変転していく……。

 南海を舞台に、生まれも育った環境も異なる3人の男の野望と挫折をシニカルに描いたこの作品は、コナン・ドイルのお気に入りで、ぜひとも孫に読ませたい小説だと推奨したという。初の邦訳。

(国書刊行会 2500円+税)

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