「二子玉川物語」吉村喜彦著

公開日:  更新日:

 月曜の夕方、二子玉川の多摩川のほとりにあるバー「リバーサイド」の開店と同時に常連客の若松が来店する。月曜日は彼が義父から継いだ寿司屋の休業日だった。冷えたモヒートを口に運びながら、若松は母親が遠足の弁当に持たせてくれたかんぴょう巻きについて語りだす。大阪で育った若松だが、母は東京出身だった。当時はそのかんぴょう巻きが貧乏くさくて嫌だったが、大人になって久しぶりに口にするとそのおいしさにびっくりしたという。モヒートのミントの苦味のように、食べ物や飲み物には苦味が大切なのだと気がついたからだ。(「海からの風」)

 マスター川原とアシスタントの琉平、そして客たちの人生のドラマを美酒美味とともに描くハートフルストーリー。

(角川春樹事務所 540円+税)

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

最新のBOOKS記事

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    早とちり小池知事…都が鑑定の“バンクシー作品”には型紙が

  2. 2

    全豪OPで話題…大坂なおみが“スリム”になった深~い理由

  3. 3

    警察が運営阻止? 6代目山口組・高山若頭に早くも再逮捕説

  4. 4

    劇的試合続くも外国人記者ソッポ…錦織圭はなぜ“不人気”か

  5. 5

    30歳適齢期は昔話 石原さとみ&深田恭子が結婚しないワケ

  6. 6

    したたか仏政府 ルノーとの経営統合要求で日産“強奪”狙い

  7. 7

    “年金博士”警鐘 支給年齢「68歳引き上げ」が意味すること

  8. 8

    持ち家派も…定年後は限りなく“住居費負担ゼロ”を目指す

  9. 9

    年商200億円の深キョン新恋人 “ホコリだらけ”の女性遍歴

  10. 10

    やっぱり賃金は下がっている 虚飾の政権で沈む日本経済

もっと見る