• facebook  
  • twitter  
  • Facebook Messenger

作者不明のCDが巻き起こす殺人事件

「ひとごろしのうた」松浦千恵美著 ハヤカワ文庫/880円+税

 ダミアが歌って世界的にヒットした「暗い日曜日」は、もとはハンガリーで生まれた曲で、その暗い内容により自殺者が相次いだとされ、歌が社会的に大きな影響を与えた例として知られている。本書も、その歌を聴くと殺人事件を引き起こすという作者不明の曲をめぐって展開される、音楽ミステリーである。

【あらすじ】大路樹はミリオンセラーを記録したロックバンドのボーカル&ギターだったが、バンドは解散、大手レコード会社の新米ディレクターとして再出発した。そこで回ってきたのが膨大な量のオーディション用音源デモを聴くこと。大半は箸にも棒にもかからない代物でうんざりしていたが、「ひとごろしのうた」というタイトルの歌を聴いた大路はハッとする。

 歌詞の内容は暗いが、情感豊かに歌い上げるその若い女性の歌声は心に深く染みいってくる。すぐ応募者に連絡を取ろうと思ったが「瑠々」という名前だけで連絡先が書かれていない。大路はラジオ番組で作者の「指名手配」をするが、手がかりはゼロ。仕方なく、作者不明のままCDリリースに踏み切る。

 曲はたちまち評判になり、これからという時、岐阜と静岡で起きた殺人事件の被疑者がどちらも事件前に瑠々の歌を聴いていたという記事が週刊誌に掲載され、CDは回収されてしまう。それでも大路は作者探しを諦めず、か細い手がかりを追って、ある驚くべき事実に行き当たる……。

【読みどころ】瑠々は、なぜ連絡先を一切書かずに応募してきたのか、また応募してきた目的は何か、そして殺人事件との関係は? いくつもの謎が絡み合いながら、ある家族の悲劇へと収斂していく。アガサ・クリスティー賞受賞という実力を存分に発揮した力作。 <石>

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

最新のBOOKS記事

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    キムタクは“御一行”で…被災地を単身訪れた斎藤工との差

  2. 2

    徳永有美アナが古巣に復帰 「報ステ」現場は大ブーイング

  3. 3

    元SMAP3人は自由を謳歌 シャッフルして新たな仕事が急増中

  4. 4

    小川アナの左腕が物語る…嵐・櫻井翔“新恋人報道”の違和感

  5. 5

    大激怒から落胆へ…爆問・太田“裏口入学”報道の複雑胸中

  6. 6

    流した浮名は数知れず 前田敦子&勝地涼“電撃婚”の舞台裏

  7. 7

    日本人拘束は進展ナシ…「安倍3選」を阻む北朝鮮の仕掛け

  8. 8

    太田光“裏口”報道は法廷へ 光代社長「橋下先生に委任状」

  9. 9

    カネと欲望がうごめく甲子園 ネット裏“怪情報”<番外編>

  10. 10

    巨悪に甘い日本の大メディア 米新聞トランプ一斉批判で露呈

もっと見る