「テーラー伊三郎」川瀬七緒著

公開日: 更新日:

 主人公は、母親と2人で田舎町に暮らす男子高校生・海色(アクアマリン)こと通称アクア。キラキラネームをつけられた上に、母親はエロ漫画家という周囲とは違いすぎる状況を抱えているアクアにとって、閉鎖的な村社会の田舎町は暮らしにくく、いつも鬱屈した気持ちを抱えていた。そんなある日、町の紳士服店のショーウインドーに、女性用コルセットが飾られているのを目撃する。

 母親の漫画を手伝わされるうち、欧州の女性用下着に詳しくなっていたアクアは、そのコルセットが丁寧に作られたコール・バレネだと気づいたのだが……。

「よろずのことに気をつけよ」で第57回江戸川乱歩賞を受賞し作家デビューし、ミステリーの分野での著作を多数持つ著者が、自らの服飾デザイナーの経験をもとに描いた初のエンターテインメント小説。

 退屈な田舎町に革命を起こした、アナーキーな仕立屋・伊三郎と、彼に魅せられた男子高校生との交流が愉快に描かれている。(KADOKAWA 1500円+税)

【連載】週末に読みたいこの1冊

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    大谷翔平は米国人から嫌われている?メディアに続き選手間投票でもMVP落選の謎解き

  2. 2

    35年前の大阪花博の巨大な塔&中国庭園は廃墟同然…「鶴見緑地」を歩いて考えたレガシーのあり方

  3. 3

    高市内閣の閣僚にスキャンダル連鎖の予兆…支持率絶好調ロケットスタートも不穏な空気

  4. 4

    葵わかなが卒業した日本女子体育大付属二階堂高校の凄さ 3人も“朝ドラヒロイン”を輩出

  5. 5

    大谷翔平の来春WBC「二刀流封印」に現実味…ドジャース首脳陣が危機感募らすワールドシリーズの深刻疲労

  1. 6

    阪神の日本シリーズ敗退は藤川監督の“自滅”だった…自軍にまで「情報隠し」で選手負担激増の本末転倒

  2. 7

    隠し子の養育費をケチって訴えられたドミニカ産の大物種馬

  3. 8

    阿部巨人V逸の責任を取るのは二岡ヘッドだけか…杉内投手チーフコーチの手腕にも疑問の声

  4. 9

    高市早苗「飲みィのやりィのやりまくり…」 自伝でブチまけていた“肉食”の衝撃!

  5. 10

    維新・藤田共同代表にも「政治とカネ」問題が直撃! 公設秘書への公金2000万円還流疑惑