「珈琲が呼ぶ」片岡義男著

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 珈琲が登場する小説を数多く書いている著者による、珈琲だけをテーマにした初の珈琲エッセー本。

 レコード映画に登場する珈琲や、執筆場所としてお気に入りの珈琲喫茶の変遷、珈琲の値段や注文の仕方など、珈琲を巡る知られざる45のエピソードがさまざまな視点からつづられている。

 たとえば、雑誌に掲載された一枚の写真を見て“この椅子に座って珈琲を飲みたい”と感じ京都まで出かけるエピソードがつづられたエッセーでは、京都に実在する喫茶店・静香で、開業以来大切に使われてきた椅子に座ることで得られる、特別な時間について語られる。いつ来ても同じ空間であり続けるために、椅子は1脚ずつしか修理に出さないという店で珈琲を飲むために京都に出かけた著者。

 1度目は休みで入れず、2度目に念願の椅子に座ることがかなう。随所に挿入された写真も秀逸。

 本書片手に珈琲を味わいたくなること請け合いだ。(光文社 1800円+税)

【連載】週末に読みたいこの1冊

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