「勝海舟 歴史を動かす交渉力」山岡淳一郎著
江戸城総攻撃計画を進めていた西郷隆盛は、イギリス公使のパークスが、徳川慶喜が亡命を求めたら受け入れると語ったのを知った。
薩摩蔵屋敷での会談で、西郷は勝海舟に江戸城と武器弾薬の引き渡しを迫った。勝は、江戸城と弾薬は即引き渡すが、軍艦を扱っているのは榎本武揚なので、自分は請け合えないと答える。
西郷は即刻幕府軍を武装解除させようとしたが、勝は、武装解除を命じると慶喜が抗戦派のとりこになるかもしれないと期限を引き延ばそうとする。パークスの江戸攻撃反対を脳裏において、西郷は江戸城総攻撃の中止を独断した。
西郷隆盛を相手に交渉し、無血の江戸開城を実現した勝海舟の交渉力を描く。(草思社 1600円+税)