「オカンといっしょ」ツチヤタカユキ著

公開日: 更新日:

 生まれてから一度も父親を見たことがない「僕」は、さまざまな「オカンの男」が出入りする家庭で育った。

 あるときはヤクザの男、あるときは巨大ワゴン車に乗った男と、レンタルビデオを借りては返すかのように目まぐるしく変わる「オカンの男」との付き合いに疲れ、いつしか嫌いな人間を殺す絵を描いて過ごすように。

 周囲から気味悪がられ、孤立したままやっと高校を卒業。

 始めたアルバイトにも意味を感じることができなかったが、唯一熱中できたのは「ケータイ大喜利」への投稿だった。バイトを辞め、一日中引きこもって笑いのネタを考え、構成作家になる道を模索し始めるのだが……。

 ハガキ職人から構成作家としてお笑いの道に入り、「笑いのカイブツ」で衝撃的なデビューを果たした新人作家による自叙伝的小説第2弾。

 どこにいても学校になじめない転校生のような気分で生きてきたという著者が、今どん底にいる人に向けて自身の体験を赤裸々に描いている。

(文藝春秋 1200円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    松任谷由実が矢沢永吉に学んだ“桁違いの金持ち”哲学…「恋人がサンタクロース」発売前年の出来事

  2. 2

    ヤクルト「FA東浜巨獲得」に現実味 村上宗隆の譲渡金10億円を原資に課題の先発補強

  3. 3

    どこよりも早い2026年国内女子ゴルフ大予想 女王候補5人の前に立ちはだかるのはこの選手

  4. 4

    「五十年目の俺たちの旅」最新映画が公開 “オメダ“役の田中健を直撃 「これで終わってもいいと思えるくらいの作品」

  5. 5

    「M-1グランプリ2025」超ダークホースの「たくろう」が初の決勝進出で圧勝したワケ

  1. 6

    出家否定も 新木優子「幸福の科学」カミングアウトの波紋

  2. 7

    福原愛が再婚&オメデタも世論は冷ややか…再燃する「W不倫疑惑」と略奪愛報道の“後始末”

  3. 8

    早大が全国高校駅伝「花の1区」逸材乱獲 日本人最高記録を大幅更新の増子陽太まで

  4. 9

    匂わせか、偶然か…Travis Japan松田元太と前田敦子の《お揃い》疑惑にファンがザワつく微妙なワケ

  5. 10

    官邸幹部「核保有」発言不問の不気味な“魂胆” 高市政権の姑息な軍国化は年明けに暴走する