「山の彼方の棲息者たち」加藤博二著

公開日: 更新日:

 ある日、うっそうとした原始林で迷った著者は、屋根も周囲もクマザサでめぐらした1間ばかりの掘っ立て小屋の前に出た。意外なことに中には24、25であろう美女が住んでいた。蛇の化身かと思ったと話すと、「私には足首がござんしょう」と笑って答えた。山うなぎ(蛇の肉)の飯をもらい一晩一緒に泊まり、翌日、下山。炭焼き小屋の老爺にその話をすると、「あのべっぴんは山窩の女房だ」と。そして、泊まった小屋の立った場所は墓場で、下には亭主が埋まっていると話してくれた。

 ほかに、山深くやってくる薬売り、村の青年団を情夫にする山芸者、許されぬ恋を成就するため娘をさらい密林に逃げ込む若者たちのことなど、乗鞍岳のお花畑の番人をしていた森林官(山役人)の著者が、山奥暮らしの中で出会った人々の思い出を語った体験譚。

(河出書房新社 1450円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    元EXILE黒木啓司がLDHを離れたワケ…妻のド派手すぎるセレブ生活が遠因か

  2. 2

    侍J捕手・中村悠平らが“NPBルール改変”を提言 「日本ガラパゴス野球」では勝てない現実

  3. 3

    高市首相の“悪態答弁”にSNSで批判殺到! 共産&れいわの質問に「不貞腐れたガキレベル」の横柄さだった理由

  4. 4

    議員会館でも身体重ね…“不倫男”松本文科相は辞任秒読み! 虚偽答弁疑惑に「コメント控える」連発の卑劣

  5. 5

    侍J選手を“殺した”井端監督の偏重起用、場当たり、塩漬け…こうして結束力に亀裂が生じた

  1. 6

    小栗旬がハリウッド“資本”映画で主演も… トラウマ級の英語力と「スター」への高い壁

  2. 7

    菊池風磨も認めるtimelesz“タイプロバブル” YouTubeなしテレビ主戦場…独自路線の成否

  3. 8

    小祝さくらは当落線上…全米女子オープンを目指す国内組「予選免除」争いの熾烈

  4. 9

    「国宝」日本アカデミー賞10冠の陰で…森七菜“最優秀助演女優賞”逃した不運と無念

  5. 10

    ベネズエラ戦惨敗は井端監督の「自業自得」…リリーフ崩壊は昨年末から始まっていた