「シネマの神は細部に宿る」押井守著構成・文渡辺麻紀
著者の女優の好みは、「悪女でおばさん」。チャンバラ映画なら莫連女、ハリウッド映画ならバンプ。映画では、見ていて腰が抜けたという、レナ・オリン演じる「蜘蛛女」を筆頭に挙げる。関係した男から生気をすべて吸い取って殺す女で、刑事のゲイリー・オールドマンに捕まるが、彼の上に馬乗りになってむりやり犯す。その手の変態が見たら泣いて喜ぶシーンだと押井は断言する。ゲイリーは彼女に比べたら小悪党にすぎず、彼女を背後から撃つことしかできない。脳天を吹っ飛ばされてどーんと倒れる豪快さで、格の違いが最期に表れている。
「ガルム・ウォーズ」などの映画監督・押井守が偏愛する映画を語る。
(東京ニュース通信社 1600円+税)