「野田秀樹×鎌田浩毅劇空間を生きる」野田秀樹、鎌田浩毅著
地球科学の研究者である鎌田は、東日本大震災を予測できなかったことで「予測と制御」が不可能なことを思い知らされた。ところが、野田が火山噴火の話を書くため鎌田にレクチャーを頼み、3部作の1つ「南へ」を上演していたときに東日本大震災が起こった。脚本を書いたのは半年前だった。また、「理想のために人を殺していいか」というテーマで「贋作・罪と罰」を上演する1週間前にオウム事件が起きた。鎌田は野田との対談で「野田演劇がすごく深いところで『予見性』を出してきたことに驚愕した」と語る。
高校・大学と同級生だった劇作家と火山学者が、芸術が未来を予見することについて語り合う刺激的な一冊。
(ミネルヴァ書房 2200円+税)