「新・巨乳バカ一代」本橋信宏著

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 世の中がバブルで浮かれていた80年代、立ち上がったばかりの芸能プロダクションの社長・野田義治は、ひとりの少女に出会う。それが愛知在住の女子高生、堀江しのぶだった。和顔で健康的な笑顔は、まさに野田が追い求めていた逸材。高校卒業を待って始めた芸能活動の最初の仕事がグラビアで、野田はそのとき初めて「彼女が巨乳だと知った」という。

 野田の情熱としのぶという素晴らしい人材の化学反応で、人気は高まっていく。しのぶのイメージビデオの監督を務め、やがて盟友となる村西とおると出会ったのもそんな頃だった。新人をスカウトし売り出す計画も着々と進み、すべてが順風な中、野田に悲劇が訪れる。しのぶがスキルス性胃がんで余命2カ月と医者に告げられたのだ……。

 本書は日刊ゲンダイに連載された、巨乳グラビアアイドルの生みの親でイエローキャブの創業者・野田義治と、AV業界も含めた芸能界の裏側をつづったノンフィクションの書籍化。

 親心のようなタレントたちに対する深い愛情と仕事における疾風怒涛の攻勢、村西との友情など行間から男たちが駆け抜けた昭和・平成の時代の空気が伝わってくる。

(河出書房新社 1800円+税)

【連載】週末に読みたいこの1冊

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