「奨学金なんかこわくない!」栗原康著

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 奨学金という名の借金の返済に苦しむ人は後を絶たない。もはや奨学金は、学ぶ者を奴隷にし、学問をおとしめる制度なのではないか。大学の非常勤講師にして自らも635万円の奨学金を背負っていた著者は、2015年に本書の初版版「学生に賃金を」を出版し、その不条理さを暴いた。今回、近年の奨学金を巡る制度の変化を加えた追補資料を補足して、今年2月に完全版の本書が緊急出版された。

 多くの国が高等教育を無償化する流れの中で、日本は世界第3位の経済大国になったときでもそれを自己責任として留保し続けた。そのため何度も国際人権委員会から勧告を受ける羽目になり、ようやく今年4月、大学無償化の支援制度をスタート。しかし蓋を開けてみれば条件を絞り過ぎた結果、今まで支援が受けられていた人でさえ受けられなくなるというケースが出現している。

 著者は、制度設計に教育者ではなく金融人が関わっていることや、授業料減免制度を利用する学校側に企業の息のかかった人材雇用の義務が生じていることなども指摘。新型コロナの流行で困窮する学生が急増するなか、必読の一冊だ。

(新評論 2000円+税)

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