「交響曲第6番『炭素物語』」ロバート・M・ヘイゼン著 渡辺正訳

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 本を構成する紙からヒトの体を巡る血液まで、身の回りの多くのものが炭素を含んでいる。ヒトにとって大いに役立つ半面、少し原子の配列が狂えば命を脅かすものにもなる炭素という元素には、実はまだまだ謎も多い。

 本書は、カーネギー研究所地球物理学研究所の深部炭素観測の責任者を務める著者が地球と生命の進化の鍵を握る炭素について探究した軌跡を著したもの。アリストテレスの唱えた宇宙の4元素(土・空気・火・水)になぞらえ、深部の炭素を探る第1楽章「土」、旅する炭素を巡る第2楽章「空気」、暮らしの炭素を検証する第3楽章「火」、生命の炭素を探究する第4楽章「水」の4つの章で構成されている。

 空気の章では、地球上の元素は皆循環しており、炭素も例外ではないことを指摘。大気から地殻へ、地殻深部から再び大気へと動くその炭素循環の仕組みをつかむため火山の二酸化炭素を測定した研究者が、火山噴火直前に噴気の二酸化炭素と硫黄の量比が急増するという噴火予知につながる事実を見つけたエピソードを紹介。

 壮大な時間をかけて地球を巡る炭素の不思議を楽しみたい。

(化学同人 2400円+税)

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