「父 Mon Pére」辻仁成著

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 パリで生まれ育った充路(ジュール)は、9歳で母を事故で亡くして以来、作家で書家の父・泰治によって育てられた。その父が72歳になり、健忘症を発症。たびたび街中で自分がどこにいるのか分からなくなり、充路に助けを求めてくる。語学学校で日本語教師をする30歳の充路には、フランス人の父と中国人の母を持つリリーという恋人がいる。リリーは充路との結婚を望んでいるが、彼はまだ、その気になれない。5年前、リリーは「あなたのお母さんのことで話したいことがある」と突然、充路の前に現れた。リリーによると、充路の母親は彼女の父親が運転する車に同乗中、死んだという。

 自身も異国で子育てを続ける著者による父と息子の物語。

(集英社 560円+税)

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