「日没」桐野夏生著

公開日: 更新日:

 エッチ小説家マッツ夢井こと松重カンナに、「総務省文化局・文化文芸倫理向上委員会」から「召喚状」が来た。読者からの提訴に関する審議を行う審議会に出席しなかったので、出頭を要請する、というのだ。ほっといたら、携帯に電話がかかってきた。以前、療養所があった施設で講習を受けろという。

 着いたのは有刺鉄線の塀に囲まれた病院のような建物。カンナは210号室に入れられ、B98と呼ばれることに。ここで自分の作品の問題点を認識し、訓練によって直されるまで帰れないと言い渡された。レイプや暴力、犯罪を肯定するのでなく、社会に適応した作品を書け、と。これは国家権力の嫌がらせだ。

「表現の自由」のない近未来社会の恐怖を描く。

(岩波書店 1800円+税)



最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    参政党・梅村みずほ議員の“怖すぎる”言論弾圧…「西麻布の母」名乗るX匿名アカに訴訟チラつかせ口封じ

  2. 2

    二階堂ふみと電撃婚したカズレーザーの超個性派言行録…「頑張らない」をモットーに年間200冊を読破

  3. 3

    選挙3連敗でも「#辞めるな」拡大…石破政権に自民党9月人事&内閣改造で政権延命のウルトラC

  4. 4

    11歳差、バイセクシュアルを公言…二階堂ふみがカズレーザーにベタ惚れした理由

  5. 5

    最速158キロ健大高崎・石垣元気を独占直撃!「最も関心があるプロ球団はどこですか?」

  1. 6

    日本ハム中田翔「暴力事件」一部始終とその深層 後輩投手の顔面にこうして拳を振り上げた

  2. 7

    「デビルマン」(全4巻)永井豪作

  3. 8

    【広陵OB】今秋ドラフト候補が女子中学生への性犯罪容疑で逮捕…プロ、アマ球界への小さくない波紋

  4. 9

    広陵・中井監督が語っていた「部員は全員家族」…今となっては“ブーメラン”な指導方針と哲学の数々

  5. 10

    キンプリ永瀬廉が大阪学芸高から日出高校に転校することになった家庭事情 大学は明治学院に進学