読書に飽きたら大人のマンガ本特集

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「ゆるゆる生物日誌 人類誕生編」種田ことび著 土屋健監修

 外出する機会が減った昨今、DVDや読書を楽しんできた諸兄も多いだろうが、たまには趣向を変えて漫画はいかが。最近はストーリーや絵を楽しむだけでなく、古典や名作、学習ものなどバラエティー豊かなのが特徴だ。今ぜひ読みたい5冊を紹介しよう。



 6600万年前、恐竜が絶滅したことにより、生態系に大きな枠が空いた。「支配者」の席だ。進化とはイス取りゲームのようなもので、そのニッチを埋めようと、単一の生物から多様な種類の生物が生まれる「適応放散」が始まる。

 初めに繁栄したのは陸に残った鳥類で、後を追うように多様化していったのが哺乳類。ヒトとサルの祖先もこの時、大きく2つに分岐される。

 1度目の分岐で直鼻猿類と曲鼻猿類に分かれ、その後、直鼻猿類から狭鼻猿類が登場。その中で生まれつき尾がないサルはやがて類人猿となり、人類の祖先へとつながっていく。ちなみに一番最後に分かれた類人猿はチンパンジーだ。

 本書は古第三紀から第四紀を舞台に恐竜絶滅後、人類がどのように進化してきたのかを4コマ、100ページにまとめた学習マンガ。ほかにもウマ類である奇蹄類、犬や猫の祖先など身近な動物たちの進化も紹介。ゆるっと人類誕生が頭に入る。

(ワニブックス 1000円+税)

「父よ、あなたは…」沖田×華著

 漫画家である“私”の元にある日、父から小包が届いた。入っていたのは、青汁2包。父とは15年以上、絶縁状態なのに、今更なぜ? と戸惑う。そしてこの日から、忘れていた父のことをぼんやり考えるようになる。

 暴力、暴言、警察沙汰と父には散々迷惑をかけられ、家族は父から逃れるためバラバラに暮らす羽目になった。私は父のことが大嫌いだった。だが、「青汁」事件から1週間後、父は自宅で孤独死した。

 葬式のため、17年ぶり富山・魚津の元自宅を訪ねた私は、ゴミにあふれた父の部屋の一角に私のマンガが大切に保管されていることに気付く。弟からは、父が私から青汁の礼の電話がくることを楽しみに待っていたと聞かされたのだが、葬式でも涙は出なかった。しかし、2度目の父の夢を見た時、私は――。

 父が死んだ日から墓石購入に至るまでの家族のドタバタと、嫌悪からやがて感謝へと変わっていく父への気持ちを描いた父娘の物語。

(幻冬舎 1000円+税)

「クマとカラス」帆著

 ある夜、道に迷ったカラスは、暗闇の中で小さな月を見つけた。月がシクシク泣くので慰めながら一夜を明かすと、朝そこにいたのは、胸に三日月のような白い毛を持つ若いツキノワグマだった。

 帰り道の分からなくなった一羽と、幼い頃に家族と別れてから「他のクマを見たことのない」一頭は行動を共にし、やがていまだ見ぬクマの仲間を捜す旅に出る。奥山に分け入り、森や湖を越え、里山にも下りてみる。道中出合ったイノシシやシカたちに「クマの目撃情報」を聞くが情報はゼロ。そんなある日、山の頂で2匹は老フクロウから「この地域のクマは絶滅した」と聞く……。

 天涯孤独のクマとはみだし者のカラスとの友情と冒険を描く動物マンガ。クマの地域個体群やカラスの生態も描きつつ、徐々に、なぜカラスがクマの元にやってきたのかが明かされる。切ないラストに感涙。

(文藝春秋 950円+税)

「猫と和む 久下貴史作品集3」久下貴史画 ジャパン・アーチスト株式会社文

 ニューヨークを拠点に創作活動を続ける画家による「猫」と「和の世界」を題材に描いた作品集。

 1986年からニューヨークに住んでいる画家は、現地で日本の伝統芸術や文化が高く評価されていることを実感。いつしか「日本のさまざま」を改めて描きたくなったという。

 画家の初猫フェデリコを寿老、雌猫のミケランジェロを弁財天に見立てるなど久下家の猫が登場する「猫の七福神 愛猫編」、歌川国芳が描いた四十七士の一つに触発されて描いた「猫の四十七士」では、愛猫ほか猫人物を文字で添える遊び心が楽しい。

 俵屋宗達の最高傑作といわれる屏風画「風神雷神図」に感銘を受けて一気に描いた、その名も「フウちゃん、ライちゃん」ではりりしくもかわいらしい猫たちが、また遠くにスカイツリーを望みながら隅田川沿いで花見をしたり(「春爛漫猫うかれ」)、勝どきの餅屋で餅つきに精を出す様子(「餅屋猫茂」)など春夏秋冬の風景も描かれ、猫と共に日本文化・芸術を巡る。

(新評論 2700円+税)

「まんがでわかるカミュ『ペスト』」小川仁志監修 前山三都里まんが

 194×年、人口20万人の港町オランでは、大量のネズミの死体があふれ返っていた。医師リウーの周りでは原因不明の熱病で死者が累増し、ペストではないかと疑う。しかし役人たちはリウーの忠告を無視しペストと判明した時には都市封鎖に追い込まれる事態に。

 深刻さが深まるにつれ、人々の「自分が一番」という行動が浮き彫りになってくる。新聞記者ランベールは己の幸せのために不法な脱出をもくろみ、職務に忠実であろうとするリウーと激しく衝突。一方、パヌルー神父は、ペストは神がもたらした人間に対する罰であると主張。リウーは「悲惨な死にも意味がある」という安易な意見に反対し、不条理な死がある限り戦うと誓う。

 ノーベル賞作家カミュの「ペスト」をマンガ化。ストーリーを解説しながら、今回のコロナ禍にも通じる教えや感染症の過去の事例を紹介していく。小説を未読の人にも格好のテキストだ。

(宝島社 1200円+税)

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