「落葉の記」勝目梓著

公開日: 更新日:

 伸子が留守の間に猫のクロベエが死んだ。実家に帰った伸子に知らせたら、月に一度の母親孝行が上の空になると思って知らせなかった。使い古しのタオルにくるんで、クロベエを庭の隅の楓の下に埋めた。漬物桶の枠板に「クロベエの墓」と書いて、漬物石を墓石代わりに載せた。

 帰宅した伸子にクロベエの死を告げると、伸子は玄関マットの上にうずくまって泣きじゃくった。クロベエを埋葬したことを告げると、43年の結婚生活で見たことのない、凄まじい怒りと恨みと難詰の籠もった目でにらみつけた。「なんてことするの、人でなし」と言って、仏壇から線香を持ってきて庭に出た。(「落葉日記」)

 勝目が亡くなる前日まで執筆した最後の作品集。

(文藝春秋 2000円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    侍ジャパンは2028年ロス五輪“出場”すら危うい現実 27年プレミア12が目先の焦点に

  2. 2

    サヘル・ローズさん「憲法9条がある日本は世界に平和を訴える独自の役割がある」

  3. 3

    横浜銀蝿Johnnyさん「キャロル『ファンキー・モンキー・ベイビー』のイントロと革ジャンを着て歌う姿にシビれた!」

  4. 4

    松重豊「孤独のグルメ」続投の裏にある《諸事情》とは…63歳ゴローさんがやめられない理由

  5. 5

    高市外交を「日本の恥」だと批判続出! 夕食会で踊り狂う写真をホワイトハウスが“さらし上げ”

  1. 6

    WBC惨敗は必然だった!井端監督の傲慢姿勢が招いたブルペン崩壊【総集編】

  2. 7

    “性的暴行”ジャンポケ斉藤慎二被告の「悪質性」法廷で明らかに…邪悪が跋扈する歪んだテレビ業界の権力構造

  3. 8

    相次ぐ海外勢欠場の幸運…日本勢は異例の“棚ボタ”メダルラッシュへ【25日開幕フィギュア世界選手権】

  4. 9

    『スマスロ ミリオンゴッド』が4月に登場 史上最高の射幸性を誇った初代『ミリオンゴッド』の伝説

  5. 10

    元ジャンポケ斉藤が裁判で無罪主張の裏で…妻・瀬戸サオリの“息子顔出し”と"名字"隠し投稿の意味深