「知っておきたい名字と家紋」武光誠著
名字と家紋の歴史をひもとく面白テキスト。
明治時代に戸籍制度が作られる以前、多くの人が2つの家の名と、2つの個人名を持っていた。2つの家の名とは名字と姓で、2つの個人名は正式な名前と通称だ。織田信長も公式文書では「織田上総介平信長」と記される。平が姓、上総介が通称だ。大和時代、大王(天皇)に従う者に対して与えられた名称が姓で、戸籍に記すと区別がつかなくなるので、名字が家を表す正式の名称になった。
一方、家紋は平安時代末に貴族が牛車を他者のと区別するために描いた文様が起源。日本人に多い名字や、29万種あるという名字の中でも特に変わった「貴少姓」のいわれ、名字と深い関係がある家紋の由来など。誰かに話したくなるウンチクが満載。
(河出書房新社 720円+税)