「ヒーラ細胞の数奇な運命」レベッカ・スクルート著 中里京子訳

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「ヒーラ細胞」とは、研究室で培養された世界初の「不死のヒト細胞」のコードネーム。始まりはアメリカで1951年、子宮頚がんの黒人女性から、死の数カ月前に採取された細胞だった。それが現在まで培養され続け世界中の研究所に「出荷」され、医学の発展に多大な貢献を果たしてきた。今までに培養されたヒーラ細胞の総量は5000万トンを超えるという。

 一方で、彼女の子どもたちが母親の細胞が生き続けていることを知ったのは、その死から25年も過ぎてからだった。

 本書は、ヒーラ細胞の提供者であるその女性ヘンリエッタ・ラックスの評伝。これまで誰も目を向けてこなかった彼女の人生に光を当て、ヒーラ細胞を生み出した科学と長年葛藤を続けてきた彼女の一家の苦闘を描く。

(河出書房新社 1562円)

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