「室町は今日もハードボイルド」清水克行著

公開日: 更新日:

 平安中期から江戸前期にかけて実在した「後妻(うわなり)打ち」とは、夫に捨てられた前妻が女友達を20人から100人も集めて後妻の家を襲撃し、台所を中心に徹底的に破壊するという慣習である。江戸時代になると「復讐」から単なる「儀礼」になるが、それ以前は、ときには後妻の命を奪うことも辞さないというすさまじさだった。捨てられた前妻の怒りが、元夫ではなく、後妻に向けられるもので、当時の女性の「弱い立場」の表れと見るべきである。

 他に夫婦げんかで腹を立て、山で薪(まき)を取るのに使う鎌で切腹しようとした男の話など、古典に見られるアナーキーな逸話を紹介する。

(新潮社 1540円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース「佐々木朗希放出」に現実味…2年連続サイ・ヤング賞左腕スクーバル獲得のトレード要員へ

  2. 2

    国分太一問題で日テレの「城島&松岡に謝罪」に関係者が抱いた“違和感”

  3. 3

    ギャラから解析する“TOKIOの絆” 国分太一コンプラ違反疑惑に松岡昌宏も城島茂も「共闘」

  4. 4

    片山さつき財務相の居直り開催を逆手に…高市首相「大臣規範」見直しで“パーティー解禁”の支離滅裂

  5. 5

    ドジャース佐々木朗希の心の瑕疵…大谷翔平が警鐘「安全に、安全にいってたら伸びるものも伸びない」

  1. 6

    小林薫&玉置浩二による唯一無二のハーモニー

  2. 7

    森田望智は苦節15年の苦労人 “ワキ毛の女王”経てブレーク…アラサーで「朝ドラ女優」抜擢のワケ

  3. 8

    臨時国会きょう閉会…維新「改革のセンターピン」定数削減頓挫、連立の“絶対条件”総崩れで手柄ゼロ

  4. 9

    阪神・佐藤輝明をドジャースが「囲い込み」か…山本由伸や朗希と関係深い広告代理店の影も見え隠れ

  5. 10

    阪神・才木浩人が今オフメジャー行きに球団「NO」で…佐藤輝明の来オフ米挑戦に大きな暗雲