「『孤独』という生き方」織田淳太郎著

公開日: 更新日:

 5年前、最愛の一人息子を病気で失った著者は、周囲の慰めの言葉も騒音にしか聞こえないほどの失意の底に沈み、ただ独りになりたくて、山奥の禅寺に逃げ込む。周囲10キロ四方に人家がない標高800メートルの深山の寺で、座禅を組み、静かな時間の流れに身を沈め、息子や己と向き合う日々。ふと気がつくと心が鎮まっていた。

 しかし、都内の自宅に帰ると再び心がざわめきだす。氏は寺に通う一方で、近くの山荘を手に入れ、誰にも邪魔されず過ごす中で、失意と悲しみに揺れ動きながらも、心が穏やかに癒やされていったという。

 そうした自らの体験をはじめ、お世話になった住職や自ら「独り生きる」選択をした人たちを取材し、「生きる」とはどういうことなのかを思索するエッセー。

(光文社 990円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    【広陵OB】今秋ドラフト候補が女子中学生への性犯罪容疑で逮捕…プロ、アマ球界への小さくない波紋

  2. 2

    海星・陣内優翔は長崎県初の“完全男”だが…スカウトが「上位獲得」を渋るワケ

  3. 3

    NHK「昭和16年夏の敗戦」は見ごたえあり 今年は戦争特別番組が盛りだくさん

  4. 4

    二階堂ふみ&カズレーザー電撃婚で浮上したナゾ…「翔んで埼玉」と屈指の進学校・熊谷高校の関係は?

  5. 5

    自死した元兵庫県議の妻がN党・立花孝志党首を「名誉毀損」の疑いで刑事告訴…今後予想される厳しい捜査の行方

  1. 6

    永野芽郁が“濡れ場あり”韓流ドラマで「セクシー派女優転身、世界デビュー」の仰天情報

  2. 7

    突然のがん宣告にも動揺なし「で、ステージはナンボでしょうか?」

  3. 8

    長崎を熱狂させた海星・酒井圭一さんが当時を語る…プロ引退後はスカウトとして大谷翔平を担当

  4. 9

    安藤サクラ「柄本佑が初めて交際した人」に驚きの声…“遊び人の父”奥田瑛二を持つ娘の苦悩

  5. 10

    平和記念式典での石破首相スピーチの評判がすこぶるいいが…原稿を下書きしたのはAIだった?