「絶滅危惧種はそこにいる」久保田潤一氏

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 著者は、テレビ東京系の人気番組「緊急SOS!池の水ぜんぶ抜く大作戦」に解説者としてレギュラー出演している自然保護団体「NPO birth」の職員。番組で行った以外も合わせると、北海道から沖縄まで60以上の池の水を抜いてきた、類いまれなる「池を丸裸にする」専門家だ。

「池の水を抜いて手入れを行うことは『かいぼり』と言い、昔から日本では農業用のため池を維持するために行われてきた手法です。でも、私たちが行うのは、ため池に限りません。外来種の根絶と水の浄化、水草の再生が主目的です。アマガエルやゲンゴロウ、メダカなど、少し前まで身近だった生き物すら開発や外来種の影響で急激に数を減らし、絶滅危惧種になってしまっています。外来種は、例えばウシガエルなら生物学者が食料不足だった頃に食べられるものを増やそうと海外から善意で持ち込んだものだったんですが、予測できなかったことが起きているんですね」

■人気番組「池の水ぜんぶ抜く大作戦」のビフォー・アフター

 本書は、七転八倒しながらかいぼりを行う記録だ。紹介例の1つが「茶色と緑色が混じったような汚い池」だったという狭山丘陵にある通称「たっちゃん池」(東京都東村山市)のかいぼり。「地元の人たちの理解を得て行わなければ」と、事前に説明会を何度も開くなど、その必要性を訴えた。2016年1月に総勢約80人で決行したが、見学者が200人以上やってきて、お祭り騒ぎのようになったそうだ。

「かいぼりって、こんなに注目度が高いんだと驚きつつ、必死でした。実は、5年前に前任者たちが一度かいぼりを行っていましたが、その時オオクチバス(外来種)を根絶させられなかったので、今回は絶対に失敗できないと。まず、せき板を外してから電動の排水ポンプを使い、魚の背中が見えるくらいまで水を抜き、捕獲班が魚ばかりか体長数ミリの小さな水生昆虫まで網ですくいました。それらを運搬班が素早く仕分け場まで運び、次に仕分け班が種類別にタライに入れる、という工程です」

 結果、捕獲生物は全部で19種514匹、そのうちオオクチバス18匹、コイ40匹、大きなフナ48匹など外来種が9種120匹。外来種の影響は大きく、前回は確認された在来種のモツゴとウキゴリが1匹も見つからず、たっちゃん池では絶滅していたことが分かった。

 かいぼりは、そうして水を抜いて生態系を調べて、終わりではない。

「その後2カ月間、水を抜きっぱなしにして、底泥を空気に触れさせ、余分な物や栄養分を減らすんです。その間に、外来種の生き残りが1匹でもいたらまた繁殖して増えてしまうので、毎日パトロールして魚影がないか監視しました。一方で、捕獲した外来種は魚粉肥料を作る会社に引き取ってもらいましたが、在来種は死なせないように水槽やタライで餌をやって飼育。2カ月後にようやく水をため、透明度の高い池に在来の生き物を戻したときは、感動しきりでした」

 地道な作業の積み重ねにより外来種を根絶でき、水質を取り戻して埋もれていた水草も復活させることができたのだ。本書は、著者たちが次から次に行う作業をハラハラドキドキして読むうちに、読み手も参加している気分になることウケアイだ。

 他にも、同じ狭山丘陵の他の池でかいぼりし、在来種31匹に対し外来種が3023匹という結果だったこと、また池以外に森、草地、湿地での保全活動も紹介されている。

「この本が、1人でも多くの人に自然保護への関心を持ってもらえる入り口になればと願います。都心のビル街の公園にも、絶滅危惧種のハヤブサが巣を作っているんですよ。皆さん、目を向けてください」

(KADOKAWA 1034円)

▽くぼた・じゅんいち NPO法人NPO birth自然環境マネジメント部部長。1978年、福島県生まれ。東京農業大学短期大学部および茨城大学卒業。環境コンサルティング会社などを経て、2012年NPO birthへ。「ダーウィンが来た!」(NHK)、「ザ!鉄腕!DASH!!」(日本テレビ系)などにも出演。

【連載】著者インタビュー

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