「地球の限界」オーウェン・ガフニーほか著 戸田早紀訳

公開日: 更新日:

 地球には驚くべき“回復力”があり、長い間安定した環境を保ち続けてきた。しかし今、地球の生命維持システム、すなわち海や森、生物多様性、炭素、窒素などの巨大な循環が、かつてないほど不安定になっている。このまま進めば、安定した地球環境は永遠に失われかねない。これを防ぐには、「プラネタリー・バウンダリー(地球の限界)」を知り、超えてしまわないよう死守するしかない。

 しかし、状況は悪化の一途をたどっていると本書は警告。例えば、地球の平均気温は1.1度上昇しており、その影響が見え始めている。過去20年に起きた記録的な高温やサンゴ礁の死滅、アマゾンの炭素吸収量の減少などから分析すると、気候のプラネタリー・バウンダリーは1.5度の気温上昇。そして、これを厳守するためには大気中の二酸化炭素濃度を約350ppmに維持することが不可欠だ。

 ところが、現在の二酸化炭素濃度は415ppm。このままいけば地球は限界を超え、「ティッピング・ポイント(転換点)」に到達してしまう。これは、安定した状態が崩れて別の状態に移行する分岐点を意味し、以降はあらゆる努力が水の泡となり、かつての状態には戻らなくなる。

 1.5度の気温上昇が現実のものとなると、経済的損失も急速に増大する。作物の収穫量維持、感染症の蔓延(まんえん)予防、干ばつへの対処などが容易ではなくなるためだ。2015年のパリ協定では、各国で1.5度を目指すようアクションを起こすことが約束されたが、実はその行動計画ではせいぜい3度の気温上昇に抑えるのが関の山で、まったく足りていないのが現実だという。

 次代のために何をなすべきか、改めて考えさせられる。

(河出書房新社 3135円)

【連載】ポストコロナの道標 SDGs本

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    趣里が7月期テレ朝ドラマで出産後初主演 続く水谷家との「蜜月」で三山凌輝にも復活説

  2. 2

    萩本欽一〈24〉相方の坂上二郎さんとは「遊ばない・食事しない・夢を語らない」を徹底した事情

  3. 3

    ソフトバンク「佐々木麟太郎シフト」着々…同ポジションの中村晃引退、山川穂高二軍塩漬けが伏線

  4. 4

    佐藤二朗vs橋本愛騒動が直撃! フジドラマ“出たくない俳優”&“見たくない視聴者”の二重苦

  5. 5

    中村晃は引退会見で「幼稚」と…長谷川勇也、松田宣浩、和田毅が呈していたソフトB若手への苦言

  1. 6

    NHK3年連続赤字で番組制作費82億円カット…タモリもダーウィンも華大も豊臣もピンチ!

  2. 7

    ソフトB関係者を“メロつかせた”佐々木麟太郎の褒め殺し…「ウチで決まりと思っちゃう」のノロケ声も

  3. 8

    萩本欽一〈25〉「車椅子でも絶対に明治座に出す」脳梗塞で左半身麻痺の坂上二郎さんを奮い立たせたひと言

  4. 9

    ソフトバンク中村晃が現役引退へ…当面の仕事は「幼稚な二軍選手」の根性叩き直し

  5. 10

    本田圭佑がサッカーW杯解説で「独り勝ち」 テレビ&CM争奪戦ボッ発で“ワリを食った”あの人