「奏弾室」仁木英之著

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 大学を休学中の佑介は、散歩中、ピアノの調べに導かれ、洋館にたどりつく。そこは、沙良という女性が指導する奏弾室という名の音楽教室だった。

 見学を勧められるが、幼い頃ピアノを習っていた佑介には苦い思い出しかなく辞退する。しかし、窓から聞こえる生徒の中年男性・益田のピアノの調べにその場を動けなくなる。たどたどしい演奏なのだが、涙が止まらなくなった佑介は、誘われるまま沙良のアシスタントのバイトを始める。

 沙良に代わって益田のレッスンに付き添う佑介は、本番での譜面めくりを頼まれる。益田は娘の結婚式で演奏を披露するようだが、会場に到着した佑介は違和感を抱く。

 音楽によって登場人物たちの止まっていた人生の時間が動き出す連作集。

(徳間書店 781円)

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