「江戸の宇宙論」池内了著

公開日: 更新日:

 日本人は、江戸時代の1780~1820年の短い間に、西洋から天文学や宇宙論を学ぶ中で、無限の空間に無限個の恒星や惑星が存在するという現代にも通用する無限宇宙論を構想し、当時の宇宙論の世界の第一線に立っていたという。

 その中心を担ったのが、絵師の司馬江漢、元長崎通詞(オランダ語の通訳)・志筑(しづき)忠雄、大名貸し「升屋」の番頭・山片蟠桃の3人の人物だった。3人に面識はなかったが、志筑は翻訳書「暦象新書」で、ニュートン力学を日本で最初に紹介。江漢は、志筑の翻訳の教師で地動説を日本に紹介した本木良永との出会いで地動説を知る。さらに蟠桃は「暦象新書」を熟読して自らの宇宙論の骨格としている。

 3人の事績を紹介しながら、その理論の先見性と独自性を再評価する。

(集英社 1034円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    阪神・大山悠輔「5年20億円」超破格厚遇が招く不幸…これで活躍できなきゃ孤立無援の崖っぷち

  2. 2

    織田裕二がフジテレビと決別の衝撃…「踊る大捜査線」続編に出演せず、柳葉敏郎が単独主演

  3. 3

    兵庫県・斎藤元彦知事を待つ12.25百条委…「パー券押し売り」疑惑と「情報漏洩」問題でいよいよ窮地に

  4. 4

    W杯最終予選で「一強」状態 森保ジャパン1月アジア杯ベスト8敗退からナニが変わったのか?

  5. 5

    悠仁さまは東大農学部第1次選考合格者の中にいるのか? 筑波大を受験した様子は確認されず…

  1. 6

    指が変形する「へバーデン結節」は最新治療で進行を食い止める

  2. 7

    ジョン・レノン(5)ジョンを意識した出で立ちで沢田研二を取材すると「どっちが芸能人?」と会員限定記事

  3. 8

    中山美穂さんの死を悼む声続々…ワインをこよなく愛し培われた“酒人脈” 隣席パーティーに“飛び入り参加”も

  4. 9

    巨人今季3度目の同一カード3連敗…次第に強まる二岡ヘッドへの風当たり

  5. 10

    「踊る大捜査線」12年ぶり新作映画に「Dr.コトー診療所」の悲劇再来の予感…《ジャニタレやめて》の声も