「『諜報の神様』と呼ばれた男」岡部伸著

公開日: 更新日:

「『諜報の神様』と呼ばれた男」岡部伸著

 第2次世界大戦中、連合国側から「枢軸国側諜報網の機関長」と恐れられたインテリジェンス・ジェネラルがいた。スウェーデン・ストックホルムに駐在していた陸軍武官の小野寺信だ。

 大戦末期の1945年2月、ポーランド亡命政府からある情報が小野寺にもたらされた。中立だったソ連が米英の依頼を受け、ドイツ降伏の3カ月後に参戦することをクリミア半島ヤルタで正式に決めたというものだ。

 しかし、ソ連の仲介で和平工作を進める参謀本部中枢にとって、その情報は「不都合な真実」でしかなく、「謀略」と決めつけ抹殺した。小野寺は、スウェーデン王室を通じて独自に和平工作にも動くが、それも握りつぶされる。

 本書は、小野寺の人生とその驚くべき諜報活動の詳細を描いた評伝。

(PHP研究所 1100円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾

  2. 2

    農水省ゴリ押し「おこめ券」は完全失速…鈴木農相も「食料品全般に使える」とコメ高騰対策から逸脱の本末転倒

  3. 3

    TBS「ザ・ロイヤルファミリー」はロケ地巡礼も大盛り上がり

  4. 4

    維新の政権しがみつき戦略は破綻確実…定数削減を「改革のセンターピン」とイキった吉村代表ダサすぎる発言後退

  5. 5

    3度目の日本記録更新 マラソン大迫傑は目的と手段が明確で“分かりやすい”から面白い

  1. 6

    国分太一“追放”騒動…日テレが一転して平謝りのウラを読む

  2. 7

    粗品「THE W」での“爆弾発言”が物議…「1秒も面白くなかった」「レベルの低い大会だった」「間違ったお笑い」

  3. 8

    阿部巨人に大激震! 24歳の次世代正捕手候補がトレード直訴の波紋「若い時間がムダになっちゃう」と吐露

  4. 9

    「おまえになんか、値がつかないよ」編成本部長の捨て台詞でFA宣言を決意した

  5. 10

    巨人阿部監督の“育成放棄宣言”に選手とファン絶望…ベテラン偏重、補強優先はもうウンザリ