「またね家族」松居大悟著
「またね家族」松居大悟著
主宰する小劇団の公演の千秋楽前日、タケシの携帯に父親から「明日東京で会えませんか」とメールが届く。福岡から上京して7年、父親から初めてきた連絡だった。
直後に電話をかけてきた兄によると、父は肺がんで余命3カ月を宣告されたという。タケシが中1のときに両親が離婚。以来、父とは年に数回しか会うこともなく、タケシは父のことが幼い頃から苦手だった。
翌日、タケシは兄と空港で父を出迎えるが、肝心なことは何も聞き出せず、父は兄に付き添われ紹介された大学病院に向かう。数日後、兄から着信があり、父の会社を継ぐために会社を辞め、福岡に戻るという。あの日、父が兄に土下座をして頼んだらしい。
父を見送るまでの2年半を描くお互いに不器用な父子の物語。
(講談社 935円)