「またね家族」松居大悟著

公開日: 更新日:

「またね家族」松居大悟著

 主宰する小劇団の公演の千秋楽前日、タケシの携帯に父親から「明日東京で会えませんか」とメールが届く。福岡から上京して7年、父親から初めてきた連絡だった。

 直後に電話をかけてきた兄によると、父は肺がんで余命3カ月を宣告されたという。タケシが中1のときに両親が離婚。以来、父とは年に数回しか会うこともなく、タケシは父のことが幼い頃から苦手だった。

 翌日、タケシは兄と空港で父を出迎えるが、肝心なことは何も聞き出せず、父は兄に付き添われ紹介された大学病院に向かう。数日後、兄から着信があり、父の会社を継ぐために会社を辞め、福岡に戻るという。あの日、父が兄に土下座をして頼んだらしい。

 父を見送るまでの2年半を描くお互いに不器用な父子の物語。

(講談社 935円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    大谷翔平は米国人から嫌われている?メディアに続き選手間投票でもMVP落選の謎解き

  2. 2

    大谷翔平の来春WBC「二刀流封印」に現実味…ドジャース首脳陣が危機感募らすワールドシリーズの深刻疲労

  3. 3

    前田健太は巨人入りが最有力か…古巣広島は早期撤退、「夫人の意向」と「本拠地の相性」がカギ

  4. 4

    新生阿部巨人は早くも道険し…「疑問残る」コーチ人事にOBが痛烈批判

  5. 5

    来春WBCは日本人メジャー選手壊滅危機…ダル出場絶望、大谷&山本は参加不透明で“スカスカ侍J”に現実味

  1. 6

    詞と曲の革命児が出会った岩崎宏美という奇跡の突然変異種

  2. 7

    高市政権にも「政治とカネ」大噴出…林総務相と城内経済財政相が“文春砲”被弾でもう立ち往生

  3. 8

    「もう野球やめたる!」…俺は高卒1年目の森野将彦に“泣かされた”

  4. 9

    連立与党の維新が迫られる“踏み絵”…企業・団体献金「規制強化」公明・国民案に立憲も協力

  5. 10

    新米売れず、ささやかれる年末の米価暴落…コメ卸最大手トップが異例言及の波紋