「画鬼と娘」池寒魚著

公開日: 更新日:

 明治22年4月26日、狩野派最後の絵師・河鍋暁斎が息を引き取った。享年58歳。その日、そこが暁斎の自宅とも知らずに男が訪ねてきた。応対した暁斎の娘とよ(暁翠)から事情を聞いた男は遺体に手を合わせ、そそくさと帰っていった。暁斎の弟子で、工部大学校で教壇に立つお雇い外国人コンデルを訪ねてきた男は、画家の五姓田義松だった。

 一方、訃報を聞いて駆けつけた弟子の小林清親は、コンデルと暁斎が「枯木寒鴉図」に法外な価格をつけた理由について話を始める。さらに幇間(ほうかん)の露八や、探検家の松浦武四郎の妻ら弔問客の相手をするとよの脳裏に父との思い出が蘇る。(表題作)

 ほかに、五姓田と父、高橋由一と息子の3組の画家親子の関係と名作誕生の舞台裏を描く連作時代集。

(集英社 620円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    名球会入り条件「200勝投手」は絶滅危機…巨人・田中将大でもプロ19年で四苦八苦

  2. 2

    永野芽郁に貼られた「悪女」のレッテル…共演者キラー超えて、今後は“共演NG”続出不可避

  3. 3

    落合監督は投手起用に一切ノータッチ。全面的に任せられたオレはやりがいと緊張感があった

  4. 4

    07年日本S、落合監督とオレが完全試合継続中の山井を八回で降板させた本当の理由(上)

  5. 5

    巨人キャベッジが“舐めプ”から一転…阿部監督ブチギレで襟を正した本当の理由

  1. 6

    今思えばあの時から…落合博満さんが“秘密主義”になったワケ

  2. 7

    巨人・田中将大が好投しても勝てないワケ…“天敵”がズバリ指摘「全然悪くない。ただ…」

  3. 8

    高市早苗氏が必死のイメチェン!「裏金議員隠し」と「ほんわかメーク」で打倒進次郎氏にメラメラ

  4. 9

    世界陸上「前髪あり」今田美桜にファンがうなる 「中森明菜の若かりし頃を彷彿」の相似性

  5. 10

    三角関係報道で蘇った坂口健太郎の"超マメ男"ぶり 永野芽郁を虜…高畑充希の誕生日に手渡した大きな花束