「葬る」上野歩著

公開日: 更新日:

「葬る」上野歩著

 2003年、麻衣が鎌倉にある実家の石材屋で働き始めて3年が経った。扱う主な商品は墓石だ。業界は、定年を迎える団塊世代の生前墓の需要が高まり、墓バブルの渦中にあった。

 しかし、父親の隆一は高価な庵治石(あじいし)で墓石をつくりたいとわざわざ東京から訪ねて来た客の依頼にも気のない返事をして、何を考えているのか分からない。元従業員に取引先の寺の半分を持っていかれても父は何も動こうとしない。

 麻衣は新しくできた民間霊園にブースを構え、墓地見学に来た人に営業をする。さまざまな客の要望に応えながら、墓石を売る麻衣だが、時代の変化で墓や葬儀に関する人々の考え方が大きく変わっていくのを肌で感じる。

 墓とは何かを模索する麻衣を主人公にしたお仕事小説。

(光文社 748円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    大谷翔平は米国人から嫌われている?メディアに続き選手間投票でもMVP落選の謎解き

  2. 2

    大谷翔平の来春WBC「二刀流封印」に現実味…ドジャース首脳陣が危機感募らすワールドシリーズの深刻疲労

  3. 3

    前田健太は巨人入りが最有力か…古巣広島は早期撤退、「夫人の意向」と「本拠地の相性」がカギ

  4. 4

    新生阿部巨人は早くも道険し…「疑問残る」コーチ人事にOBが痛烈批判

  5. 5

    来春WBCは日本人メジャー選手壊滅危機…ダル出場絶望、大谷&山本は参加不透明で“スカスカ侍J”に現実味

  1. 6

    詞と曲の革命児が出会った岩崎宏美という奇跡の突然変異種

  2. 7

    高市政権にも「政治とカネ」大噴出…林総務相と城内経済財政相が“文春砲”被弾でもう立ち往生

  3. 8

    「もう野球やめたる!」…俺は高卒1年目の森野将彦に“泣かされた”

  4. 9

    連立与党の維新が迫られる“踏み絵”…企業・団体献金「規制強化」公明・国民案に立憲も協力

  5. 10

    新米売れず、ささやかれる年末の米価暴落…コメ卸最大手トップが異例言及の波紋