「優しい暴力の時代」チョン・イヒョン著 斎藤真理子訳

公開日: 更新日:

「優しい暴力の時代」チョン・イヒョン著 斎藤真理子訳

 朝、「僕」はペットのシャクシャクを置いて出勤。勤務先は「金満老人の養老院」の別名を持つ高級住居型シルバーコミュニティーだ。事務所で制服に着替え、入居者たちの部屋に向かおうとしたとき、ミス・チョ女史から着信があるが、勤務中は通話を禁じられている。

 5歳のとき、母が亡くなり、以後、父親はさまざまな女性と交際。ミス・チョもそのひとりだった。僕が全寮制の高校に進学した後、父と暮らしていたのが彼女だ。数年前に、SNSを通じて彼女が僕を捜し出し、以来、メッセージをやりとりしたり、たまに食事したりするようになった。終業後、僕は彼女が亡くなったことを知る。(「ミス・チョと亀と僕」)

「都市の記録者」の異名を持つ韓国の人気作家による作品集。

(河出書房新社 1210円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    安青錦は大関昇進も“課題”クリアできず…「手で受けるだけ」の立ち合いに厳しい指摘

  2. 2

    阿部巨人に大激震! 24歳の次世代正捕手候補がトレード直訴の波紋「若い時間がムダになっちゃう」と吐露

  3. 3

    マエケン楽天入り最有力…“本命”だった巨人はフラれて万々歳? OB投手も「獲得失敗がプラスになる」

  4. 4

    中日FA柳に続きマエケンにも逃げられ…苦境の巨人にまさかの菅野智之“出戻り復帰”が浮上

  5. 5

    今田美桜に襲い掛かった「3億円トラブル」報道で“CM女王”消滅…女優業へのダメージも避けられず

  1. 6

    高市政権の“軍拡シナリオ”に綻び…トランプ大統領との電話会談で露呈した「米国の本音」

  2. 7

    エジプト考古学者・吉村作治さんは5年間の車椅子生活を経て…80歳の現在も情熱を失わず

  3. 8

    日中対立激化招いた高市外交に漂う“食傷ムード”…海外の有力メディアから懸念や皮肉が続々と

  4. 9

    安青錦の大関昇進めぐり「賛成」「反対」真っ二つ…苦手の横綱・大の里に善戦したと思いきや

  5. 10

    石破前首相も参戦で「おこめ券」批判拡大…届くのは春以降、米価下落ならありがたみゼロ