あっと驚く未来像

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「2045 不都合な未来予測48」友村晋著

 21世紀も最初の四半世紀に達した。そこで予測される未来像とは?

  ◇  ◇  ◇

「2045 不都合な未来予測48」友村晋著

 2024年最大の話題は大谷翔平……ではなく生成AI。一昨年、評判になり始めたと思ったらあっという間に最新のパソコンにまで搭載されてしまった。本書はこの生成AIがこれから先どう発展して世の中を変えていくのかを予測する。

 著者は「フューチャリスト」(未来予測士)を名乗るビジネス系ユーチューバー。さすがに目のつけどころがシャープだ。もちろん生成AIの技術書ではなく、その進化を通して世の中がどう変わっていくのかを語るわけだ。

 生成AIの「黎明期」は今後5年間。ホワイトカラーや芸能人・モデルなどの仕事単価が急落するという。声優の仕事もAIに奪われてギャラは下がるし、大企業の総務や法務は数人でよくなる。つまり従来の社会が崩れるわけだ。次の5年間が「成熟期」。そのまた次が「AGI誕生期」。これは「汎用人工知能」のこと。たとえばお掃除ロボなら掃除すべき場所を考えてくれるのだ。

 やがて2040年からの5年間にASI(人工超知能)が誕生。自動車はすべて自動運転なので事故が激減。渋滞もなくなる。海水は一瞬で飲み水に変えられるし、老化を防ぐ長寿薬で寿命は200歳になるかも? とんでもない未来が待ち受けていそうだ。

(日経BPマーケティング 1980円)

「2025年日本はこうなる」三菱UFJリサーチ&コンサルティング編

「2025年日本はこうなる」三菱UFJリサーチ&コンサルティング編

 未来予測といえばやっぱり気になるのが日本。今年は一体どんな年になるの? という興味にこたえるのがこれ。実は中身は意外と暗い。

 まず、生成AIの活用は遅れる。理由は先進国の中でとびぬけて中小企業が多いから。外国人労働者は中国からベトナムに主役が代わったが、それも下降傾向。日本に魅力がなくなったから? 代わりに目立つのがネパールとインドネシアだそうだ。定年延長もあって高齢者の労働は高まるが、60代後半だと就業率はぐっと下がる。

 ほかにも米国経済は分断が深まり、混乱の可能性あり。トランプ復帰はヤバそうだ。他方、台湾有事の可能性は高くない。「ジェンダー・ギャップ」「地方創生」「日本版ライドシェア」「訪日外国人」など、いま起きている身近なテーマがめじろ押しの便利本。

(東洋経済新報社 2200円)

「池上彰の未来予測After2040」池上彰著

「池上彰の未来予測After2040」池上彰著

 テレビの時事解説といえばやっぱりこの人。硬派な話題をやさしくシロウト向けにかみ砕いて解説してくれるワザは余人の及ぶところではない。本書はいまから15年後とそのあとの未来を堅実に予測する。

「仕事」編では、AIの職場進出にインバウンド旅行者とオーバーツーリズム問題などがズラリと並ぶ。

「暮らし」編では、気になるインフレや待ったなしの少子高齢化問題にも目配りされる。

「健康」編では、テクノロジーの進化で病気の早期発見が一段と進み、臓器移植にも3Dプリンターが使われるという。

「教育」編では、通信制高校の進学率が上がり、オンライン授業が当たり前になる。

「自然災害」編では、デング熱を媒介する蚊が2100年までには北海道にまで生息するようになるそうだ。富士山は近い将来必ず噴火し、溶岩流は小田原にまで及ぶかもしれない。

 身近なテーマばかりで楽しく啓発される。

(主婦の友社 1980円)

【連載】本で読み解くNEWSの深層

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