「国家とは何か」吉本隆明著、先崎彰容編・解説

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「国家とは何か」吉本隆明著、先崎彰容編・解説

 戦後日本の思想界に大きな足跡を残した著者(2012年没)の代表作「共同幻想論」は、ドストエフスキーの「カラマーゾフの兄弟」やハイデッガーの「存在と時間」に匹敵するといわれるほどの難解さで知られる。

 本書は、その名著を読みこなすための背景的知識を得るために編まれた講演・短編批評集。

 冒頭、医学生を相手に語った「個体・家族・共同性としての人間」と題された講演では、人間が個体として存在するということはどういうことかという点から論じ始め、エンゲルスの国家論などにも触れながら、国家の原点を家族に求める。そして家族がいかにして共同体にまで拡大しうるのか、その契機となる根本的な問題に迫る。

 全8編を網羅し、その時代的背景、そして今日的な読み方を編者が解説。 (KADOKAWA 1210円)

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