「族長の秋」ガブリエル・ガルシア=マルケス著 鼓直訳

公開日: 更新日:

「族長の秋」ガブリエル・ガルシア=マルケス著 鼓直訳

 月曜日の朝、人々は大統領府に群がるハゲタカによって異変を察した。何百年にもわたる惰眠から覚醒して、恐る恐る大統領府に足を踏み入れた人々は、秘密の執務室で床にうつぶせ右腕を枕代わりに頭の下にあてがういつもの眠る姿勢で死んでいる大統領を見つける。

 かつて生娘のように滑らかだった手は鳥についばまれ、その薬指には権力の象徴である指輪が残り、雄牛の腎臓ほどもある睾丸はハゲタカも手をつけずそのままだった。それでも人々は素直に彼の死を信じることができなかった。彼が執務室でただ1人、服を着たまま眠っている最中に大往生を遂げたのを見るのは実はこれで2度目だったからだ。

 ノーベル賞作家が、南米の架空の国を舞台に独裁者の実相を描いた傑作。

(新潮社 1100円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    不慮の事故で四肢が完全麻痺…BARBEE BOYSのKONTAが日刊ゲンダイに語っていた歌、家族、うつ病との闘病

  2. 2

    萩本欽一(11)ひとりぼっち寂しく貧乏飯を食べながら「先生も同級生もバカだな」と思うことにした

  3. 3

    嵐が去る前に思い出す…あの頃の「松本潤」と「大野智」

  4. 4

    あのちゃん追い風だった女優業に暗雲の炎上!「嫌いな芸能人」発言で反撃される痛恨

  5. 5

    視聴率の取れない枠にハマった和久田麻由子アナの不運 与えられているのは「誰でもできる役割」のみ

  1. 6

    医学部に進学した息子のために老後破産したエリートサラリーマンの懺悔

  2. 7

    初期ビートルズの代名詞のような2曲の、まるっきり新しかったポップさ、キュートさ、叫びっぷり

  3. 8

    混戦制した河本結の"自己中プレー"に中継解説者が苦言…人気女子プロに問われるモラルとマナー

  4. 9

    田中将大が楽天を去った本当の理由…退団から巨人移籍までに俺とした“3度の電話”の中身

  5. 10

    ますます劣化する高市官邸…ポテチパッケージ白黒変更を「カルビーの売名行為」と幹部暴言しSNS大炎上