「新装版 昭和インテリアスタイル」グラフィック社編集部編
昭和を愛する人々のこだわりのお宅を拝見
「新装版 昭和インテリアスタイル」グラフィック社編集部編
昭和の高度経済成長期、大量生産・大量消費の勢いにのり、デザインの世界でもさまざまな試みが行われた。その中には、今も愛され色あせないデザインも多数ある。
本書は、そんな昭和中期、1950~70年代のインテリアやカルチャーを愛する人々が暮らす家とそのライフスタイルを紹介するビジュアルブック。
クリエーティブディレクターのチダコウイチさんと、ファッションデザイナーの野口アヤさん夫妻が暮らすのは、皇居新宮殿などを手掛けた建築家・吉村順三氏が設計した唯一の集合住宅。
高齢だった前オーナーがバリアフリー仕様にリフォームしていた部屋を建築当初のパンフレットや説明書に基づいてレストアして、1979年の竣工時の状態に戻したというこだわりぶり。
床にフランス製のランタンタイルが張られた広いリビングには暖炉があり(使用せずオブジェや花器をディスプレー)、その周囲に「BKFチェア」や「アルコランプ」、オランダ製レザーソファ、観葉植物などが絶妙に配され、くつろぎの空間をつくり出している。
以降、大きな瞳のビニール人形で埋め尽くされ、壁にはマーガレット・キーンの作品やヌードパネルが並ぶカレー店のオーナー佐藤圭介さんと古着店のオーナー由紀子さん夫妻の何ともサイケデリックな部屋をはじめ、団体職員の関根隆幸さんが竣工時のまま手つかずの状態で手に入れ、コンセプトに合わせて作り上げた在りし日の中銀カプセルタワーの一室、プロダクトデザイナーの菅野大門さんが大阪から移住して暮らす奈良県東吉野村の日本家屋など、各人各様の18の家が登場。
昭和、ミッドセンチュリー、そしてインテリア好きにお勧め。 (グラフィック社 1980円)