「迷走生活の方法」福岡伸一著

公開日: 更新日:

動的平衡」の著書でお馴染みの著者が、目に見えないウイルスに翻弄される今の時代におすすめの生活方法として、「迷走生活」なるキーワードを提唱したエッセー集。

 迷走生活とは、さまざまな出来事に右往左往する生活ではなく、迷走神経を活性化させる生活の意味。アグレッシブに行動したり闘ったりするより、心身をリラックスさせるべく迷走神経に代表される副交感神経系を優位にすると、免疫力が上がり、ウイルスの悪影響も遠のくらしい。

 さらに、ウイルスと人間とはもともと共存状態にあるため、持久戦に持ち込んでおとなしくなるように手なずけるしかないことも解説。加えて上空の気温や気圧、風向きなどのデータを飛行機が収集しているため、コロナ禍で飛行機が減便されたことに伴い、データを集めにくくなり、天気予報が外れやすくなったことも紹介されている。

 ほかにも狭心症の薬が勃起不全を治した仕組みから、災害にも耐えうる生命的な建築物が立つ都市の在り方や、沖縄からブラジルまで38分で移動できる地球トンネルまで、好奇心をくすぐる話題を科学者ならではの視点で語り尽くしている。

(文藝春秋 1980円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    日本中学生新聞が見た参院選 「参政党は『ネオナチ政党』。取材拒否されたけど注視していきます」

  2. 2

    俺が監督になったら茶髪とヒゲを「禁止」したい根拠…立浪和義のやり方には思うところもある

  3. 3

    上野樹里“ガン無視動画”にネット騒然! 夫・和田唱との笑顔ツーショットの裏のリアルな夫婦仲

  4. 4

    巨人・阿部監督に心境の変化「岡本和真とまた来季」…主砲のメジャー挑戦可否がチーム内外で注目集める

  5. 5

    松下洸平結婚で「母の異変」の報告続出!「大号泣」に「家事をする気力消失」まで

  1. 6

    松本潤&井上真央の"ワイプ共演"が話題…結婚説と破局説が20年燻り続けた背景と後輩カップルたち

  2. 7

    “死球の恐怖”藤浪晋太郎のDeNA入りにセ5球団が戦々恐々…「打者にストレス。パに行ってほしかった」

  3. 8

    参政党トンデモ言説「行き過ぎた男女共同参画」はやはり非科学的 専業主婦は「むしろ少子化を加速させる」と識者バッサリ

  4. 9

    松本潤「19番目のカルテ」の評価で浮き彫りに…「嵐」解散後のビミョーすぎる立ち位置

  5. 10

    巨人エース戸郷翔征の不振を招いた“真犯人”の実名…評論家のOB元投手コーチがバッサリ