女房の顔が見えたときはホッとした…木之元亮さん前立腺がん手術を振り返る

公開日: 更新日:

木之元亮さん(俳優)=前立腺がん

 来るかなと思ってはいたけれど、数値を見たとき「やっぱり来たか!」と思いました。PSA(前立腺がんの腫瘍マーカー)の値です。0~4が正常値のところ、70歳で受けた結果は「5」でした。

 こう見えて区の健診は毎年まじめに受けるタイプで、65歳からはPSAの血液検査もちゃんと受けていました。前回が3.6だったので、次は引っかかるかもしれないと思っていたら案の定そうだったわけですが、「そんな年か……」とショックはショックでしたよね。

 念のためにもう一度検査を受けましたが、同じ数値だったので精密検査を受ける病院を紹介され、そこで正式に「前立腺がん」と診断されました。

 ただ、当時は誰にも言わなかったんです。知っているのは女房と子供だけ。仕事の関係者にも黙っていました。

 特に94歳の母親には心配をかけたくなくて、検査を受けたことも手術を受けたことも最後まで伝えないまま、2022年11月に見送りました。

 手術は2022年の夏でした。すでに舞台出演が決まっていたので、稽古開始までのリハビリ期間も見越して手術の日を決めました。「ダヴィンチ」という手術支援ロボットによる手術で、お腹に6つの穴を開けました。

 コロナ禍だったので家族すら面会できない状況でしたけど、手術のときは女房だけ手術の控室みたいな部屋に入ることが許されて、術後の自分を待っていてくれました。麻酔が切れて女房の顔が見えたときは、「帰ってきた~」と心底ホッとしました。いや、大げさじゃなくて女房が大きな存在に思えました。あれ、なんなんですかね。

 人生初の入院と手術でした。「俺は健康だ」と自負がありました。スポーツジムで筋トレも有酸素運動もストレッチもやってるし、他人の何十倍もお酒を飲んでも元気だし……とね。それに、なんといっても「太陽にほえろ!」ですからね。新人は「帰る」と言えない時代で、とにかく鍛えられました。今では信じられませんけど、良くも悪くもそういう時代だったんですよ。でも、ちゃんと年はとってました。年をとったらちゃんと病気もやってくるんですね。

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