民泊運営に高いハードル…負動産化する別荘地を抱える所有者の悩み
2023年の空き家の数は900万戸と18年の849万戸に比べて51万戸増に。“負動産”の増加が過去最高となる中、所有者が持て余しているのがバブル期以前に全国各地で販売された別荘地だ。投機目的の購入も多く、上物を建てることもないままバブル崩壊で価値が下落。親から相続を余儀なくされ、使うことも売ることもできず管理費や固定資産税で年間数十万円の負担を強いられている子世代も少なくないという。
そのため、利用していない別荘地の管理費の支払いは適正でないなどの理由で、所有者が管理会社に契約解除を求めて訴訟を起こすケースが相次いでいる。一方で、不動産ベンチャーが高級別荘を建築し所有権と利用権を小口で販売したり、個人が貸別荘を運営したりしている例もある。
■厳しい管理規約
観光地に近く避暑地であれば民泊の運営も模索できそうだが、別荘地独自のハードルが存在するとのこと。地方の空き家や農地などの難あり物件を取り扱う不動産会社リライトの田中裕治社長はこう話す。
「別荘地は管理規約で民泊のような営業行為や事務所利用はおろか、バーベキューやテントを張ることさえ禁止しているところがほとんどです。比較的廉価なトレーラーハウスやコンテナハウスを置けないことも多いのです。なぜなら、不特定多数の人が訪れることで秩序や治安が守れないなどの理由からで、特に規約変更は難しいのです」