大惨敗に終わった世陸を「トリプルミッションの好循環」(勝利、普及、資金)の観点から考えた
東京世界陸上で日本は銅メダル2個に終わりましたが、開催9日間の総入場者数は約62万人を数え、テレビも高視聴率が続いて大いに盛り上がりました。その「世界陸上」について──。
東京世界陸上の最初の種目「男女競歩35キロ」では、中継したTBSのテレビ解説者として、男子の勝木隼人選手が日本勢メダル第1号となる銅メダルを獲得する場面を目の当たりにしました。
幸先の良さに大興奮したものですが、日本勢2個目となるメダルは、大会8日目の女子競歩20キロの藤井菜々子選手の銅メダルまで待たなければなりませんでした。
大会3日目の男子マラソンには、吉田祐也選手が「青学大箱根駅伝組で初の日の丸戦士」として出場しました。出場3選手のメダル獲得を期待したのですが、近藤亮太選手が11位、小山直城選手が23位、吉田選手が34位に終わりました。それでも「日本の男子選手が五輪や世界陸上の中長距離種目でメダルを獲得するチャンスはマラソンしかない」という思いを改めて強くしました。
近年のマラソンは高速化が急激に進んでいますが、五輪や世界陸上は持ちタイムが速いだけでは戦えません。東京世界陸上の優勝タイムは2時間9分48秒。持ちタイム2分、3分台の強豪選手が軒並み棄権し、長距離王国のエチオピアとケニアの選手に入賞者はひとりもいませんでした。