最新回の朝ドラ「ばけばけ」ウラの見所~笑顔がこわい! トキ(髙石あかり)の“顔芸”が完璧だった。見どころの一つだと確信した回
第2週「ムコ、モラウ、ムズカシ。」#6
【朝ドラのツボ!】
貧乏脱出のため結婚を目指す、トキ(高石あかり)。しかし、チヨ(倉沢杏菜)とせん(安達木乃)と行った恋占いの結果は一人だけ悲惨で…落ち込むトキを励ますため、司之介(岡部たかし)とフミ(池脇千鶴)は、お見合い相手探しに奔走する。
一方、工場では恋占いの結果通りに、せんの結婚が決まりチヨと雨清水家の三男・三之丞(板垣李光人)が祝福をしていた。それを知ったトキは占いの結果通りの結婚に焦りを覚える。
【こちらもどうぞ】「ばけばけ」は“聖地巡礼”したくなる朝ドラの予感。実際にある島根県・八重垣神社の“恋占い”してみたい!
【本日のツボ】
おトキの顔芸
※※以下、ネタバレあります※※
週をまたいで、まだまだ八重垣神社の恋占いをやるとは思いませんでした。逆に土、日を挟んだことで、沈むまでどれほど長い時間がかかったのか、ということを視聴者も体感。おトキのいたたまれなさを共有しました。
大好きなしじみ汁も手につかないほど、呆然とするトキ。
そんなトキを「そげな占い信じるな。信じるのは自分だけ。そうすれば、ワシのように堂々と生きていけるけん」と励ます父でしたが、「父上のようには生きたくないの」とトキにきっぱり言われ、「ひ~ひひ、厳しいなおトキは」と笑ってごまかす司之介。情けない父親っぷりが板についています。
「当たるも八卦当たらぬも八卦。占いなんてそう当たらんもんだけん」と母フミが慰めるところに、「八雲立つ 出雲八重垣 妻ごみに 八重垣つくる その八重垣を」と祖父。
「『古事記』に載る日本最古の和歌じゃ。この和歌は、おじょが占いをした八重垣神社で歌われちょる。八重垣様はこの和歌に因んだ由緒正しき縁結びの地。つまり、酷な話だが、占いは当たるじゃろ」と。空気の読めない祖父の言葉に、泣き出すトキ。
その後、お見合い相手の話になり、相手に対する望みを訊かれたトキは、「よく働き、よく稼いでくれる人だが」と。
さらに、好みを訊かれて、「叶うなら、怪談がお好きな方が」とトキ。「河童とか天狗とか小豆洗いとか」。トキがいずれ、理想にぴったりの人に出会えることを知っているだけに、そんな松野家のやりとりにニンマリしてしまいます。
タエとフミの不穏な空気
早速お相手探しに奔走する父と母。県知事の家に牛乳を売り込むついでに見合い話を持ち掛けた父は、雇い主からこっぴどく叱られてしまいます。
雨清水家のタエ(北川景子)に見合い相手を探して欲しいと頼みに行った母は、先回りし、お見合い相手をすでに探しているとタエに言われ、一見、失礼ともとれる逆ギレのようなふるまいを。
タエとフミの間にちょうど柱が映り込んでいて、ふたりの間には何かありそうな雰囲気が醸されていました。県知事役は島根県出身の佐野史郎。もちろんこれで終わりということはなく、今後、物語に絡んでくるに違いありません。
本日、初お目見えの雨清水家の三男・三之丞役の板垣李光人とともに、楽しみなキャスティングです。
それにしても、絶妙に変わるおトキの表情は見ていて飽きません。
三之丞におせんの祝言が決まったことを告げられ、一瞬、「えっ」となったものの、気を取り直して、「へ~、う、う、占いどおりだが~、おめでとう~。これで暮らしも楽になるねえ」と言う時の作り笑顔から、振り返った後の“素”の顔。なにかブツブツ呟いているような感じも含めて、「なんか笑顔が怖い」と言われる顔芸が完璧でした。
おトキの顔芸は「ばけばけ」見どころのひとつであると確信しました。
(桧山珠美/TVコラムニスト)