「パパイラスの舟」小鷹信光著

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「パパイラスの舟」小鷹信光著

 ミステリー評論エッセーの名作の初文庫化。

 まずは、アメリカ・ロサンゼルスの地図を広げ、著者が翻訳中のロス・マクドナルドの「The Instant Enemy」(一瞬の敵)の登場人物の行動をたどりながら、登場人物がフリーウエーと峠道のどちらを使ったのか悩んでみる。また、同じ作者の用いる比喩についても言及。やがて話題は作家デラノ・エイムズの作品の中に見つけた「古典悲劇のなかでは死が物語の結末として登場するが、スリラー小説では冒頭に出てくる」という一文を持ち出し、ミステリー論を展開。

 以降、夫婦探偵について論じたかと思えば、諸作品を取り上げながらハードボイルドの意味を現代人の生き方になぞらえて語るなど、読者がミステリーという大海で迷わぬよう道しるべを示す。 (東京創元社 1320円)


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