著者のコラム一覧
荒川隆之薬剤師

長久堂野村病院診療支援部薬剤科科長、薬剤師。1975年、奈良県生まれ。福山大学大学院卒。広島県薬剤師会常務理事、広島県病院薬剤師会理事、日本病院薬剤師会中小病院委員会副委員長などを兼務。日本病院薬剤師会感染制御認定薬剤師、日本化学療法学会抗菌化学療法認定薬剤師といった感染症対策に関する専門資格を取得。

「不思議の国のアリス症候群」には薬が関係している可能性あり

公開日: 更新日:

「モノが小さく見えたり、大きく見えたりする」「時間や自分の体が変に感じる」──。そんな奇妙な体験をする「不思議の国のアリス症候群(AIWS)」という病気をご存じでしょうか。この名称はルイス・キャロルの童話に由来し、視覚や身体感覚のゆがみが起きる神経症状のひとつです。

 これまでは、片頭痛やてんかん、ウイルス感染などが原因として知られていました。ところが、最新の研究では、一部の医薬品がAIWSと関連する可能性があることが示されたのです。フランス・ニース大学病院のDiane A・Merino氏らの研究グループが、世界保健機関(WHO)の医薬品安全性データベースに報告された症例を分析したところ、喘息治療薬のモンテルカストは、すべての年齢層において関連性が示されていました。子供ではADHD(注意欠如・多動症)治療薬のメチルフェニデート、大人では抗精神病薬のアリピプラゾール、抗うつ薬のセルトラリン、抗てんかん薬のトピラマートとAIWSの報告が目立ちました。

 もちろん、これらの薬を飲めば必ずAIWSの症状が現れる、というものではありません。AIWS自体がまれな症候であり、報告された症例による示唆にすぎず、因果関係が確定したわけではありません。

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