(2)見えないAEDの壁…「設置してある」だけでは間に合わない

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 一昨年の11月、駅ビルの広い本屋でうろうろしていたときのことです。背後からドスンと鈍い音がして振り返ると、80代くらいの男性があおむけに倒れていました。

 慌ててお店の人に知らせようとしたけど、そこにいたのはアルバイトらしき若い店員さんだけ。「私ではわからないんで……」と社員を探しに走り去ってしまいました。周囲に集まり始めた人たちも、呆然と立ち尽くしている。

「ここで考えちゃダメだ」と、私は駆け寄って男性に声をかけました。

「大丈夫ですか?」

 意識はある。でも次の瞬間、床が赤く染まっていくのが見えました。頭から血が流れていたのです。

 かなりショックを受けつつ「救急車を呼んでください!」と叫ぶと、ようやく周りが動き始めました。

 看護師さんと思われる方が現れ、脈を測り、声をかけながら対応してくれました。お店の人も救急車を手配し、ご家族にも連絡していました。

 ただ、待てど暮らせど救急車が来ないのです。近くに住むご家族のほうが先に到着したほど。救急隊が現場に着いたのは約30分後。男性は無事に搬送されましたが、私は帰宅後もぐるぐると考えていました。

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