著者のコラム一覧
碓井広義メディア文化評論家

1955年長野県生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業。千葉商科大学大学院政策研究科博士課程修了。博士(政策研究)。81年テレビマンユニオンに参加。以後20年、ドキュメンタリーやドラマの制作を行う。代表作に「人間ドキュメント 夏目雅子物語」など。慶應義塾大学助教授などを経て2020年3月まで上智大学文学部新聞学科教授。専門はメディア文化論。著書に「倉本聰の言葉―ドラマの中の名言」、倉本聰との共著「脚本力」ほか。

江口&尾野「はじめまして、愛しています。」への期待

公開日: 更新日:

 大ヒットドラマ「ひとつ屋根の下」(フジテレビ系)が終了してから、約20年が過ぎた。

 柏木家の次男で「チイ兄ちゃん」こと雅也の福山雅治(47)は人気音楽家&俳優となり、女優の吹石一恵(33)と結婚した。四男・文也の山本耕史(39)も大河ドラマの常連俳優へと成長し、妻は女優の堀北真希(27)だ。

 彼らの妹・小雪酒井法子(45)はプロサーファーと結婚したが、09年に覚醒剤取締法違反で逮捕。現在もなお前途多難だ。

 そして、あの「あんちゃん」、達也はどうしているのかと思っていたら、この夏、帰ってきた。それが「はじめまして、愛しています。」(テレビ朝日系)だ。まあ、それくらい江口洋介(48)が演じる信次は達也を彷彿とさせる。いつも元気で、無類のおしゃべり。そして世話好き。困っている人を見捨てておけない。

 一方、妻の美奈(尾野真千子)は、母親の自殺やピアニストへの夢に破れたことで、やや鬱屈気味だ。そんな2人が、親から虐待を受けていた少年との特別養子縁組にトライしている。出会いを「運命」と感じた信次に引っ張られる形で進んでいるが、本当の難しさに直面するのはこれからだ。

 脚本は、「家政婦のミタ」(日本テレビ系)の遊川和彦。親子とは、家族とは、という重いテーマだが、信次の明るさと美奈の視点が効いている。現実を踏まえたフィクションとして、期待できる辛口のホームドラマだ。

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