トップセールスマン捨て噺家に 桂宮治を支えた糟糠の妻

公開日: 更新日:

 成績は良かったですよ。全国各地の百貨店やショッピングモールから指名が入るくらいのトップセールスマンで、年収は大手企業勤務の同年代よりはるかに良かったですよ。

 でも、僕の中では限界でした。カミさんとは同棲中で、相談したら「一度の人生なんだから、好きな仕事したほうがいいよ。修業している間は私が働いて支えてあげる」って。後で聞いたら「お笑い芸人って話だったら絶対、反対してた」そうで、落語ならイケるって思ったらしいんです。

 それで腹を決め、後日開いた結婚披露宴の最後の挨拶で「退職します」って報告しましてね。来賓だった勤務先の社長は鳩が豆鉄砲食らったような顔されてましたけど(笑い)。

 だから、結婚してすぐに無職。しかもまったく落語家の当てがない。最初はインターネットで調べて毎日毎日、寄席通いです。それで師匠が国立演芸場で舞台に出てきた瞬間、「あ、この人!」。噺を聞く前に、もうビビビッて直感で決めてました。

■収入は20分の1に


 そしていざ入門。覚悟していたとはいえ、収入なんて知れてます。前座ですから、得られる給金は月数万円。片手まで行きませんよ。往復の交通費とカップラーメン1個食べたらおしまい。その年の年収は前年の20分の1以下です。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    武田鉄矢「水戸黄門」が7年ぶり2時間SPで復活! 一行が目指すは輪島・金沢

  2. 2

    生田絵梨花は中学校まで文京区の公立で学び、東京音大付属に進学 高3で乃木坂46を一時活動休止の背景

  3. 3

    未成年の少女を複数回自宅に呼び出していたSKY-HIの「年内活動辞退」に疑問噴出…「1週間もない」と関係者批判

  4. 4

    2025年ドラマベスト3 「人生の時間」の使い方を問いかけるこの3作

  5. 5

    2025年は邦画の当たり年 主演クラスの俳優が「脇役」に回ることが映画界に活気を与えている

  1. 6

    真木よう子「第2子出産」祝福ムードに水を差す…中島裕翔「熱愛報道」の微妙すぎるタイミング

  2. 7

    M-1新王者「たくろう」がネタにした出身大学が注目度爆上がりのワケ…寛容でユーモラスな学長に著名な卒業生ズラリ

  3. 8

    松任谷由実が矢沢永吉に学んだ“桁違いの金持ち”哲学…「恋人がサンタクロース」発売前年の出来事

  4. 9

    高市政権の積極財政は「無責任な放漫財政」過去最大122兆円予算案も長期金利上昇で国債利払い爆増

  5. 10

    農水省「おこめ券」説明会のトンデモ全容 所管外の問い合わせに官僚疲弊、鈴木農相は逃げの一手