「戦艦ポチョムキン」は名作 映画で知るロシア革命100年

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「米ソ冷戦時代に入るとハリウッドに対抗するように国産映画が隆盛を極めました。当時のソ連国民は年間平均15回以上も映画館に通い詰めたというから相当なものです。『惑星ソラリス』(72年、ソ)などのアンドレイ・タルコフスキー監督作品がカンヌやベネチア映画祭で評価されていたのもこの頃。対するアメリカでは『ロッキー4/炎の友情』(85年、米)やスパイ映画等、ソ連を敵役に設定するエンタメ作品が量産されています」(前出の前田氏)

■新世代ロシア映画はエンタメ志向

 ペレストロイカ路線が行き詰まり、1991年にソ連が崩壊すると映画業界も事実上の壊滅状態に。その復活は2000年代前半の原油価格高騰による経済の好転を待たねばならなかった。

「輸入された米映画の影響により、新世代のロシア映画はエンタメ志向が強いです。異世界の戦いを描き、ロシア映画興収記録を塗り替えたファンタジー『ナイト・ウォッチ/NOCHNOI DOZOR』(04年、露)などの大衆娯楽作は、VFXを多用した映像など明らかにハリウッド映画を意識しています。また、フェラーリなど高級車が乱舞するアクション『ストリート・レーサー』(08年、露)のカーチェイス監督は、ジェイソン・ボーンシリーズのカースタントを手掛けたビクトール・イワノフ。彼のようにハリウッドで経験を積んだ人材の登用も行っています」(前出の前田氏)

 国内の映画市場は右肩上がりの成長を遂げ、観客動員数では日本を追い抜いたという。映画産業への助成金を増やすなど、プーチン大統領はかつての映画大国の復興を目指している。はたしてその剛腕は後世の映画でどう描かれるのか。

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