著者のコラム一覧
井筒和幸映画監督

1952年12月13日、奈良県出身。県立奈良高校在学中から映画製作を始める。75年にピンク映画で監督デビューを果たし、「岸和田少年愚連隊」(96年)と「パッチギ!」(04年)では「ブルーリボン最優秀作品賞」を受賞。歯に衣着せぬ物言いがバラエティ番組でも人気を博し、現在は週刊誌やラジオでご意見番としても活躍中。

連日のワイドショーにウンザリしながら思い出した81年残暑

公開日: 更新日:

 ここしばらく、既存のワイドショーから離れて、本来の極道(修業中の極めごと)である映画という奈落の生業に専念してると、こっちも自分の暮らし方、生き方をもう一度(今まで何度思ってきたことか)見つめ直そうかという気になってくる。振り返れば、オレの映画現場なんて、役者を追い込み、嫌がらせ、悩ませ、落胆させ、真っ白にする、そんなパワハラも普通にやってきた。

 なんて人間はみみっちいことに捉われてばかりで頭が悪いんだろ。そんな日常から脱しようと、映画にのめり込んだ1981年の残暑を思い出す。初の一般映画「ガキ帝国」でちょっと名が売れていい気になってたら、義理欠く恥欠く人情欠くの三角マークの東映から「今度は在日のヤツは出てこない、ケンカ三昧の不良どもの続編を撮ってみろ。題名だけ同じなら中身は何でもいいから」といい加減なことを、東大出の営業本部長に言われたので、仰せの通り、よっし、それなら時代遅れの暴走族も出してやってやれと決めて、相棒に2週間で脚本を書かせ、ひと夏で撮り上げたのが「ガキ帝国・悪たれ戦争」だった。今年の灼熱と比べようはないが、炎天下で雄たけびを上げて撮り、仕上げ時に絵をカットしろしないで東映とモメて、打ち上げでヤケ飲みして、気がついたら夜明けの四谷署のブタ箱にいた。悪名無頼監督の事件は全国ニュースで流れたらしいが、作品は9月に封切られたし、今よりいい時代だった。

 その後、事情があって再上映もビデオ化もならずで37年経ったが、この年末、ひょっとしたら上映されるかも知れないと聞いた。わが恥の上塗りながら、なんかワクワクしている。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 芸能のアクセスランキング

  1. 1

    亡き長嶋茂雄さんの長男一茂は「相続放棄」発言の過去…身内トラブルと《10年以上顔を合わせていない》家族関係

  2. 2

    上白石萌音・萌歌姉妹が鹿児島から上京して高校受験した実践学園の偏差値 大学はそれぞれ別へ

  3. 3

    「時代と寝た男」加納典明(17)病室のTVで見た山口百恵に衝撃を受け、4年間の移住生活にピリオド

  4. 4

    中居正広氏に降りかかる「自己破産」の危機…フジテレビから数十億円規模損害賠償の“標的”に?

  5. 5

    備蓄米報道でも連日登場…スーパー「アキダイ」はなぜテレビ局から重宝される?

  1. 6

    “バカ息子”落書き騒動から続く江角マキコのお騒がせ遍歴…今度は息子の母校と訴訟沙汰

  2. 7

    “名門小学校”から渋幕に進んだ秀才・田中圭が東大受験をしなかったワケ 教育熱心な母の影響

  3. 8

    女子学院から東大文Ⅲに進んだ膳場貴子が“進振り”で医学部を目指したナゾ

  4. 9

    「こっちのけんと」の両親が「深イイ話」出演でも菅田将暉の親であることを明かさなかった深〜いワケ

  5. 10

    長嶋一茂が父・茂雄さんの訃報を真っ先に伝えた“芸能界の恩人”…ブレークを見抜いた明石家さんまの慧眼

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース佐々木朗希に向けられる“疑いの目”…逃げ癖ついたロッテ時代はチーム内で信頼されず

  2. 2

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  3. 3

    備蓄米報道でも連日登場…スーパー「アキダイ」はなぜテレビ局から重宝される?

  4. 4

    上白石萌音・萌歌姉妹が鹿児島から上京して高校受験した実践学園の偏差値 大学はそれぞれ別へ

  5. 5

    “名門小学校”から渋幕に進んだ秀才・田中圭が東大受験をしなかったワケ 教育熱心な母の影響

  1. 6

    大阪万博“唯一の目玉”水上ショーもはや再開不能…レジオネラ菌が指針値の20倍から約50倍に!

  2. 7

    今秋ドラフト候補が女子中学生への性犯罪容疑で逮捕…プロ、アマ球界への小さくない波紋

  3. 8

    星野源「ガッキーとの夜の幸せタイム」告白で注目される“デマ騒動”&体調不良説との「因果関係」

  4. 9

    女子学院から東大文Ⅲに進んだ膳場貴子が“進振り”で医学部を目指したナゾ

  5. 10

    “貧弱”佐々木朗希は今季絶望まである…右肩痛は原因不明でお手上げ、引退に追い込まれるケースも